まず文例を提示してみます。
尊厳死宣言公正証書
第1条 私OOOOは私の病気が不治であり、かつ、死が迫っている場合に備えて私の家族及び私の
医療に携わる方々に、自らの死の在り方について、次のとおり希望を申し述べます。
(1)私の病気が、担当医師を含む2人以上の医師の一般に認められている医学的知見によ
って現代の医学では不治の状態にあり、死期が迫っており、延命措置を行うと否とにかかわ
らず死に至り、そのような延命措置の実行は、単に死の過程を人工的に引き延ばすだけであ
ると診断された場合には、苦痛を伴う手術や延命のみを目的とする措置は行わないで、苦痛
を和らげる措置をとって、人間としての尊厳を保った安らかな死を迎えることができるよう
ご配慮ください。
(2)前号の場合、私の苦痛を和らげる措置は最大限実施してください。そのために、麻薬
等の副作用により死亡時期が早まったとしてもかまいません。
第2条 私の家族である
(1)長男OOOO(昭和 年 月 日生)
(2)二男OOOO(昭和 年 月 日生)
は私がこのように尊厳死を真剣に願っていることを理解し、私の末期医療に際して、その治
療に当たってくださる医師の方々にその意思に沿った措置をとり延命措置を施さないよう申
し立てることを是非お願いします。
第3条 担当医師におかれましては、私の意のあるところをお汲み取り頂き、本公正証書に基づき
最大限前述した私の意思が尊重されることを期待いたします。
第4条 私のこの宣言による要望を忠実に果たしてくださる方々に深く感謝申し上げます。そして
、その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は、私自身にあります。警察、検察
関係者におかれましては、私の家族や知人、医師が私の意思沿った行動をとったことにより
、これらの者を犯罪捜査や訴追の対象にすることのないように特にお願いします。
第5条 このような希望は、私自身の精神が健全な状態にある時にしたものです。したがって、私
の精神が健全な状態にある時に、私自身が破棄するか、または撤回する書面を作成しない限
り有効であることを明らかにしておきます。
以上が典型的な文例になります。上記の5条に加え、動機について記載する場合もあります。これは必ずしも必要なものではありませんが、医師の判断を後押しする効果があると言われています。以下提示してみます。
第6条 私がこのように尊厳死を望む理由は、自己の人生の最後の在り方は自己の意思によって決
めたいからであります。私がこのような気持ちになった動機は、病気や交通事故で不自由な
身体となり、悲惨な生活を送っている人の話がひっきりなしに新聞やテレビで報道されてい
ること、病院などで植物状態になれば、家族が介護することは身体的にも、また、経済的に
もとても無理であることなどの事情によるものです。
第7条 私がこのように尊厳死を望む理由は、自己の人生の最後の在り方は自己の意思によって決
めたいからであります。私がこのような気持ちになったのは、妻が胃がんにより入院しまし
たが、その終末期は、激痛を訴えた末意識が定かでなくなり、人工呼吸器の管につながれて
、ただ人工的に生かされているという悲惨な状態であり、早く楽にさせてあげたいと切に願
った体験があるからです。
ここまで書ければほぼ完璧だと思います。
あと尊厳死宣言書を作成する時は家族の了承を得ておく事が肝要です。急な搬送などでせっかく書いた尊厳死宣言書を渡せないことがありますので、できれば家族などに謄本を預けておいた方が良いと思います。おひとり様の場合は、委任・任意後見契約、公正証書遺言、死後事務委任契約とセットで作成し、謄本を受任者に預けておいて下さい。大抵受任者が緊急連絡先になってますので、すぐ駆けつけてあなたの意思を伝えてくれると思います。
では作成の流れを説明させて頂きます。
まずお話を伺います。 →
作成した草案をチェックして頂きます。 →
公証役場に出向き正本と謄本を頂きま
す。
(実印、印鑑登録証明書、住民票等を持参致します。)
私の身近でも、尊厳死宣言書を作成していなかった為に十分なターミナルケアをとる事ができず、心不全による呼吸困難で最後まで苦しみ抜いて死んでいった、などという話を聞いた事があります。どうかご自身がその様な目に合わないように、作成を検討してみては如何でしょうか。費用も手間もさほどかかりません。是非ご相談下さい。
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